躰道(たいどう)が、一般的な武道と異なる点は「躰道」という語義そのものに現れています。最近では心と体が表裏一体であることは周知の事実ですが、躰道の創始者祝嶺正献最高師範は、経験を通して心と体は一体であり、体が心・・・つまり人間育成に大きく影響することを確信していたに違いありません。
祝嶺正献最高師範は、特攻隊員(正確には人間魚雷という人一人が魚雷の中に入って敵艦に体当たりするもの)として命令を受けました。祝嶺氏は、その任務を完璧に遂行すべく懸命に思案する中で、人間の五体を究極に生かす奥義を窮めます。
躰道は「旋・運・変・捻・転」という運動法則を基にしており、その動きは今で言う「3D」の動き、アクロバット的な動きです。躰道の「展開」という競技を初めて見る人は、アクションショーを見ているように感じるはず。しかし、躰道の母体は沖縄琉球王国時代の武術「手(ティー)」なのです。
昭和20年 旋•運•変•捻•転の運動原理に基にした動態に発想をえて、三次元の運動空間に適応できる技術を編み出す。
昭和24年 静岡県伊東市ではじめて実技を公開。
昭和28年 玄制流空手道を創始。この年より10年間、玄制流空手道として東京を中心に大学、自衛隊、会社等で実験的に指導を続ける中で、新武道を創始するための基礎的な内容を整える。
昭和40年 理論的な統括原理を確立して「躰道」を創始。
近年、フルコンタクトの武術が流行っているため「フルコンタクト競技を見てみたい・・・」と思いがちですが、「躰道」はそのような競技とは一線を画しています。なぜなら競技での勝ち負け以上に大切なこと「人間育成」を第一としているからです。
恐らく・・・いや間違いなく「躰道」のように人間育成の観点から術技、競技ルールを詳細に体系化している武道は他にないと思います。